レンタカー事業にて複数OTAサイトの予約状況の把握・在庫調整を一括で管理できるツール「メトロコンダクター」。導入後1年以上が経過する株式会社MIC(ニコニコレンタカー)の脇坂耕平さんに、メトロコンダクターを導入した背景と導入して感じた効果、今後のメトロコンダクターを用いたレンタカー事業運営の展望について語ってもらった。
各OTAでの在庫設定で、同様の作業を繰り返すことに対して感じていた非効率性
ー脇坂さんの自己紹介をお願いします。
私は株式会社MICのニコレン直営事業部にて、日本の主要都市にある直営店舗の店長らと連携し、直営店舗の売上向上や業務効率化の推進を担当しています。
ーなるほど。メトロコンダクターを導入したのは、どのような経緯ですか?
メトロコンダクターを導入する以前は、楽天・じゃらんなど各OTAサイトにおいて、各車両で販売している車両の在庫調整を、各店舗の担当者が各サイトの管理画面を見て1つずつ操作し対応していました。サイトによっては、販売中の車両を一覧で見て在庫調整できるサイトもありましたが、大半が各車両のページで1つずつ個別に在庫数を設定する必要がありました。このような1つずつ個別に在庫数を設定するという同じ作業を繰り返しに対し、非効率性を感じていました。
このような課題感に対し、メトロコンダクターは、各OTAサイトの在庫を管理画面1つで一括管理することを可能にしてくれます。例えば、連携しているOTAサイト数が6つの場合、メトロコンダクターを利用することで、単純に考えても担当者の作業が6分の1になります。実際には、OTAによって在庫の設定方法が複雑なものもあり、作業時間の短縮としては6分の1以上の削減効果があります。
ー現場の方はどのようにツールを使っていますか?
弊社では、本部直営の数店舗に対してメトロコンダクターを導入しました。各店舗にはOTAの在庫調整をするスタッフが2~3人います。在庫の調整は、基本的にはほぼ毎日やっており、直近1週間の在庫を特に注視して調整しています。
ほかにも、1~2週間に1回定期的に、数ヶ月先の在庫についても予約状況を加味しながら調整をしています。現場の担当者が忙しく手が離せない時には、本部の私自身が在庫数の調整をすることもあります。
ー実際に導入した所感としてはどうでしたか?
当初期待していた通りの効果を実感することができました。各店舗のスタッフ全員から「個別にサイトで在庫数を調整していた時と比べて、格段に在庫調整が楽になった」という声をもらっています。
また、実際にメトロコンダクターを利用する店舗の担当者から「このような機能があれば、もっと便利になるだろうな」という声もたまに上がります。その意見に私も納得した際には、改善要望を率直にメトロエンジンさんにお伝えします。その意見を取り入れ、プロダクトを日々改善してくださるサポート体制も非常に手厚いと感じています。
ただ、運用が楽になったという声をもらったと言いましたが、導入してすぐにそのような声があったわけではありません。導入した直後は、各店舗の担当者もこれまでのOTAの管理画面とは異なる新たなツールが導入されたということで、使用方法については多少の混乱がありました。実際に使いこなして各OTAの在庫管理ができるようになるまで、おおよそ2ヶ月ほどの期間を要しました。
ーなるほど、各店舗の担当者に実際に使いこなしてもらうには、それなりに苦労しましたか?
実際に運用が軌道に乗るまでおおよそ2ヶ月要したことは事実です。
ただ、メトロコンダクター自体はIT系のツールに親しみのない人にとっても非常に使いやすいツールだと思います。例えば1つのページの中で、現在自社が持っている在庫数、現時点で各OTAサイトで入っている予約数、それらを差し引きした残在庫数、これらが一覧で把握することができます。このような機能は他のツールにはなく、非常に重宝しています。
また、実際に複数OTAで同時販売する中で、あるサイトで注文が入った際、他のサイトでの販売を瞬時に一括停止しオーバーブッキングを防ぐことができます。これもボタン操作一つで実現可能なため、非常に便利だと感じています。今ではメトロコンダクターを使ったOTA販売の運営も各店舗に浸透しており、当初期待していた通りの業務効率化を実現することができています。
在庫数の少ない車両を積極的に販売し、売上が約30%増加
ー業務効率化以外の効果はありましたか?
はい、メトロコンダクターを導入したことで、これまで積極的にOTA上で販売できなかった車両に関して、売上が約30%増加しました。
そもそもの背景をお話しすると、弊社の場合、メトロコンダクターは店舗規模の大きい順に導入しました。初期は北海道や福岡といった観光が盛んで売上規模の大きい店舗で導入しました。その後、売上規模としてはやや劣りますが、新横浜と長崎といった主要観光都市の近隣の地域にある店舗にも導入しました。
後から導入した店舗は主要都市に比べて各車両の在庫数も潤沢にあるわけではありません。例えば、SUVの車両は主要観光都市の店舗と比べてわずかな在庫数しかありません。メトロコンダクターを導入する前は、このような在庫数の少ない車両を販売したいと思っても、複数のサイトに在庫数を全て入れるのは、非常に厳密な管理が求められます。全OTAに在庫を入れたとしても、もし同時に注文が入った場合、オーバーブッキングを招く可能性があります。そのため、このような在庫数の少ない車両は、積極的にOTAで販売することができませんでした。
しかし、メトロコンダクターを使えば、注文が入った瞬間に全てのサイトに一括で販売停止をかけることができます。これにより、今まで在庫数が少なく積極的に販売できなかった車両をオーバーブッキングを招くことなく販売することが可能になり、販売の機会損失を削減することができました。
その結果、在庫数の少ない車両を積極的に販売できるようになり、売上を約30%向上することができました。
業務効率化で得た時間を、戦略を考える有益な時間に
ー業務効率化によって得た浮いた時間は、どのように使っていきたいですか?
ニコニコレンタカーというブランドの価値を高めていくために、各店舗が他社との差別化や自社の提供価値をより効果的に訴求するための戦略を考える時間に使っていきたいです。ニコニコレンタカーは中古車を中心に取り扱っていますが、私の管轄する店舗では新車を中心に取り扱っていることが強みであり、そういったところを打ち出して他社との差別化を図っていきたいです。
メトロコンダクターを導入するまでは、競合他社の価格を見ながらより安価に販売し顧客を獲得していくことを考えていました。特にコロナ禍前まではその指向が強かったです。
しかし直近のコロナ禍で急激に変化する需要に対応するために、タイムリーに在庫調整をしなければならない状況が増えました。そういった局面でメトロコンダクターの一括在庫管理や販売停止機能をフル活用して臨機応変な在庫調整が可能になることで、競合ではなく市場を見て販売できるようになり、結果的に単価を上げることができました。
このように、他社とは差別化した戦略を図りつつ、価格競争で安価に商品提供すること以外の面で付加価値を訴求していけるような土壌を整えながら、ニコニコレンタカーのブランドイメージを向上させていきたいと思っています。
ー導入する際、何かハードルはありましたか?
メトロコンダクターの導入を検討するにあたって、複数OTAサイトの在庫を一括管理できる機能は、現場担当者の業務効率化を促進するという役割が際立って見てとれるかと思います。ただ、実際現場の担当者が複数OTAサイトの在庫をこまめに調整する苦労は、決裁者である部長や役員に必ずしも共感してもらえるものではありません。
しかし、私が述べたような在庫数の少ない車両を販売できることによる機会損失の削減や、浮いた時間を競合他社との差別化を図る時間にあてられるようになることは、単なる業務効率化に終始せず、実際売上の向上にもつながっています。このような点は、決裁者にツール導入を納得してもらうのにかなり役立っています。
ー最後に、今後の展望を教えていただけますか?
メトロコンダクターによる売上向上や業務効率化は、まさしく今世間でトレンドになっている、DXの推進により新たな手法によるビジネスモデルの展開と市場への価値提供が実現できていることだ、と実感しています。
今後もメトロコンダクターを利用しながら、より顧客の期待に添えるサービスを展開していければと思っています。
ー脇坂さん、ありがとうございました。